ケータイ三社のバランスシート比較
売上と営業利益に続いてバランスシートの比較を行って見ました。
下のグラフは各社のバランスシートを並べたものです。
(少し見栄えが悪いかも知れません、筆者のエクセル能力不足のせいです。)
資産額で言えば、ソフトバンクが群を抜いています。
無形固定資産額が多いのが特徴です。
右側では純資産額はそこまで変わりませんがソフトバンクの負債額がDocomoの9倍、KDDIの7.5倍ほどあります。
この表にはソフトバンクが借入金を使って企業買収し、その結果のれんが計上されているという事が示されているのでしょう。
次に各社の年次別のバランスシートを見ていきます。
先ずはソフトバンク。以外にも大きな変化は見られませんでした。
純資産の低迷が気になります。
続いてDocomo。
純資産が厚いです! さすがと言ったところです。
ただ、資産や純資産の連続減が気になります。
ケータイ販売の劣勢がバランスシートにも表れているのでしょうか。
最後がKDDI。
毎年純資産を積み上げています。各項目のバランスも安定しながら増加して行っていて、理想的な推移を示しています。
ザックリではありますが、バランスシートの比較をしてみました。
筆者個人はバフェット好きのバリュー投資指向です。
その観点からして、純資産を安定して積み上げているKDDIが一番魅力的に感じる結果となりました。
もちろん、PLやキャッシュフロー、純利益の分配など純資産の変動に影響する要素を個別に見て行く必要があります。
評価の仕方や投資法は人それぞれだと思いますので、読者さまのご意見頂けばと思います。
ケータイ各社のセグメント別売上と営業利益
ケータイ3社のセグメント情報を見て行きたいと思います。
先ずは各社のセグメント別売上と営業利益を紹介します。
データは2016.03期のもので、ソースは各社の有価証券報告書です。
セグメント名にばらつきがありますが、KDDIの通信事業はパーソナルセグメントです。
図1 Docomoのセグメント別売上と営業利益
百万円 | 通信 | スマートライフ | その他 |
売上 | 3,698,900 | 504,100 | 359,300 |
営業利益 | 708,900 | 46,500 | 27,700 |
図2 KDDIのセグメント別売上と営業利益
百万円 | パーソナル | バリュー | ビジネス | グローバル |
売上 | 3,503,255 | 271,763 | 632,032 | 294,409 |
営業利益 | 656,584 | 73,803 | 61,436 | 32,145 |
図3 SoftBankのセグメント別売上と営業利益
百万円 | 国内通信 | スプリント | Yahoo | 流通 |
売上 | 3,144,650 | 3,871,647 | 652,031 | 1,420,416 |
営業利益 | 688,389 | 61,485 | 222,787 | △ 1,284 |
各社ともにメイン事業は国内の通信が利益母体になっているのがわかります。
国内通信事業の比較
通信事業では各社、音声通話料からデータ通信料、そしてコンテンツ料へシフトして行っているのは共通で以前のブログで紹介した通りです。Docomo,KDDIではセグメント分けも行っています。
違いの一つはセット販売。KDDI,SoftBankはインターネットと、KDDIはさらにケーブルテレビをセット販売している事です。
違いのもう一つは格安スマホ。SoftBankがYahooモバイルを積極的に販売している事でしょうか。
それ以外の事業
KDDIはミャンマーで積極的な展開を行っており、グローバル事業の売上が伸びてきています。
SoftBankは米スプリントを買収したことで、他二社とは売上構成が全く異なっています。
ただ、営業利益でみると今のところスプリントは全くと言っていいほど貢献できていません。
SoftBankは他にもYahoo!Japanを保有しているのでその売上と営業利益が計上されています。
流通事業もある様ですが、今回はスルーします。
Docomoは今現在は目立ったその他事業は在りません。国内通信の一本足体制ですね。
ソフトバンクのARPU、契約件数
Docomo、KDDiに続いてソフトバンクのARPUと契約件数も調べました。
先ずはARPU。
Docomo、KDDI同様に音声が一貫して減少し、データの増加と2015年からはサービス
が加わって音声の減少を補っています。
続いて契約件数です。こちらも二社同様に単調増加になっています。
ARPUの低迷を契約件数でカバーしています。
ARPUと契約件数からケータイ端末からの売上を概算しますと以下の様になりました。
Docomo、KDDI、Softbankそれぞれ同じような結果となりました。
ARPUと契約件数を見る限り、各社の傾向差はあまり見られず同じ様な方針を取っている様に見受けられます。
各社が競争を激しくすればARPUなどはもっと各社特徴が出てきそうですが、各社の似た傾向は、消費者側から見た時のケータイ料金の割高感を表しているのかもしれません。
今後契約件数が頭打ちになってくると価格競争が激しくなってARPUはぐっと下がってくるでしょうか。
投資家としても、一ユーザーとしても継続してウォッチして行きたいと思います。
KDDIのARPU(ケータイ一端末の売上高)
前回ブログのDoomoに続きKDDIのARPUも調べて見ました。
音声ARPUが10年弱で1/3程度に著しく低下しています。
その逆にデータARPUが1.5倍ほどになって音声ARPUの減少を補っています。
またKDDIも12年からスマートARPU(IR資料では付加価値ARPU)を導入し年々少しずつですが増加しています。
グラフでは2012年から総ARPUが増加いますが実際の総ARPUはほぼフラットです。(表参照)
これは割引ARPUを加算していないためです。(2015.3で-1040円の値引き)
また、KDDIでは2015年からKPIをARPU(ケータイ一台あたりの売上)からARPA(顧客一人あたりの売上)に変更しました。
これはケータイだけでなく、光回線やケーブルテレビなどと抱き合わせて販売している事と整合します。
グラフを見ると、ケータイ料金が頭打ちなので当然ですね。
ARPUの詳細をグラフにし切れなかったので表も載せておきます。
次に契約件数の推移です。
ドコモと同じく右肩上がりですね。
最後に総合ARPUと契約件数から売上を計算しました。
(KDDIの会社全体の売上の一部の概算です。ご注意ください。)
この計算ではケータイ端末だけでの売上は10年で変わってない事がわかります。
下の図はついでなのでKDDI全体の売上推移をホームページから引用しました。
2006年から2016年の間に1兆円以上の売り上げ増が見られます。
上の図からこの増加分はケータイ端末以外の売上と言う事になります。
KDDIの全体の売上
KDDIはケータイ端末あたりの販売ではなく、ジェイコムや光など他のサービスと合わせて販売する事に注力するようになってきています。
その傾向が売上分析で数値として理解できます。
Docomoの営業成績の詳細を調べてみた
仕事で大手携帯会社について調べる機会があったのでまとめておきます。
資料元はNTTDocomoの有価証券報告書になります。
有報ではKPIとしてARPUと総契約件数が目に付きました。
(他にも契約純増数やMNP(他社からの乗り換え増減契約数)などがありました。)
有報によるとARPUは一契約あたりの契約者の月の支払い額になります。
(Average Revenue Per User)
図①をご覧ください。
図①
ARPUは音声、パケット、スマートに分かれていて、それぞれの年推移がわかります。
傾向として、総APRUは減少傾向で特に音声ARPUがかなりの割合で減少しています。
また、その逆にスマホに関わるサービスが伸びてきています。
(13.3年度からスマホサービスを項目に加える変更がありました。)
世間ではキャリアの通信料が高いと批判を浴びていますが、年々料金が低下しているのは間違いないですね。
図①音声でお金がとれなくなっているのを如実に物語っていますね。
次が契約件数です。図②をご覧ください。
こちらは堅調に増加しています。
図②
①②から単価(ARPUの事)が減少し、数量でそれを補っているのがわかるかと思います。
最後に契約件数とARPUから売上げを見積もって見ます。
図③をご覧ください。
図③
単価減を契約増で補っていますが、トータルでは減少傾向にあります。
注意して頂きたいのはこの売り上げには端末販売やその他周辺事業の売上が入っていないことです。(また次回調べて紹介します。)
今回紹介した契約からの売上は全体の70~80%を占めています。
今回はざっと書きましたが業界全体、KDDIやSoftBankのARPUや契約件数もまとめて行きたいと思います。
他のKPIも紹介出来たらと思います。
キャリアとお仕事される機会がある方には少しはお役に立てるかもしれません。
世代別貯蓄額を見てみた
世代ごとの世帯収入と貯蓄額について調べてみました。
ガベージニュースさんが高齢福祉白書のデータをグラフに起こしてくれていたので引用させて頂きました。
ありがとうございます。
http://www.garbagenews.net/archives/2000143.html
私は現在30歳です。
これを見て自分も60歳になる頃には2000万円の貯蓄をすることができるのだろうかと感じてしまいます。
ですが注意したいのは、このデータは2014年現在のもので、50歳以上の方々はバブル以前の高度経済成長の恩恵を受けている事です。
ですから経済状況が異なる中、今20~30歳の人達に同じような資産形成ができるかと言うと難しいでしょう。
貯蓄率の傾向を見てみると、所得の絶対額の減少と合わせて貯蓄率が十数年前から急激に落ちています。(↓図参考)
2013年は貯蓄率がマイナスになってしまいました。
また、貯蓄をすればよいという訳ではありません。下の図を見てください。
預金にかかる金利の推移です。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news812a.htm
90年までは5~6%の利息がついていました。
これは12-14年で金額が倍になる数字です。今では考えられません。
収入が増えない+金融環境がマイナス金利の導入など悪すぎです。
それにしても若年世代は社会福祉負担が加速度的に増えるなかで、どのように財産形成して行けばいいんでしょうか。