しょくにんの長期投資

長期的な視点で投資について日々考えている事を綴っていきます。

決算概要 - KDDI (2018) -

1年ぶりの投稿になります。

今回はKDDI2018年度決算の主要指標をサラッとまとめてみました。

マーケットではMVNO台頭への不安などで評価はいまひとつですが、実際の業績はどうなっているのでしょうか。

 1.売上と営業利益の推移

図1をご覧ください。こちらは売上をセグメント事に分けて表示しております。
パーソナル & バリューがそこそこ増加、ビジネス & グローバルはほぼフラットな状況でしょうか。
ここ二年で言えばバリューの増加が著しいです。

・売上 & 営業利益の推移 (セグメント単位で確認できるグラフ)

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図1.セグメント別売上推移

 

図2をご覧ください。こちらはセグメント事の営業利益の推移になります。
構成比は売上とあまり変わりません。2012年からの成長はパーソナル & バリューによることがわかると思います。
ビジネスはフラット、グローバルは最近黒字が定着したようです。

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図1.セグメント別営業利益推移

 

 

2.セグメント事の主要指標

図2で分かる通り営業利益の大半はパーソナルとバリューが占めています。
なのでここではこの二つのセグメントについて見ていきたいと思います。

2.1 パーソナルセグメント

パーソナルは移動端末(au or MVNO)と固定回線の通信インフラサービスがメインになります。以下の図3は移動端末の主要サービスの契約数になります。

決算短信の記述からここでのMVNOUQモバイル/ビッグローブ/ジュピターテレコムを指していると思われます。

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図3. 移動通信の主要サービス契約件数

 

MVNOにどれだけ削られているのか??」と思っていましたが、意外にauの契約数が増加しており、MVNOの増加も今のところau契約数と比べると微々たるものです。

MVNOよりかWiMAXの契約数増加が著しいですね。この数値はすごく納得感があります。
というのも職場(外駐先)でUQ WiMAXを使う方が増えてきたと感じることと、実際に使ってみてと手も便利だからです。
何より会社が進んでポケットWiFiを持たせてくれるようになったことです。
おそらくビジネスからのニーズが大きいのではないでしょうか。

 

次がauのARPAになります。図4をご覧ください。
2016年から指標がARPU(端末あたりの月売上)からARPA(契約者あたりの月売上)に変更になりました。
そのため2015年までのデータしか見つけられませんでしたのでご了承ください。
付加価値ARPAはバリューセグメントの範疇ですが見やすいのでまとめました。 

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図4 au ARPAの推移

契約件数の伸びの割に通信ARPAはそれほど増加していません。
全体的に通信による売上単価は下落しているようですが、それを契約数でカバーしている印象を受けます。
まあこれは数年前から明らかだったのですが、MVNOとの価格競争はそこまで激しくないと理解べきでしょうか。

ちなみに筆者がMVNOARPUauの決算資料から計算してみたところおよそ1,650円になりました。
au の通信ARPAと単純比較すると1/3程度になります。だいぶ違いますね。
そういうこともありMVNOとの価格競争によりauのARPAは来年以降は下がっていくのではないかと個人的には思います。

決算資料には一人あたりの端末契約数など他にも注目すべきKPIがあったのですが、今回は筆者のモチベーションの都合で深入りしません。

 2.2 バリューセグメント

KDDIが最も力を入れているセグメントです。

図5をご覧ください。auが展開する各種コンテンツサービスの流通額の推移です。

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図5 au経済圏 流通総額とKDDI関連会社の経済圏内売上率

KDDIではこのコンテンツチャンネルを「ライフデザイン」、「au経済圏」などといった言葉で表現しています。
au経済圏の流通総額は2018年度でおよそ1.9兆円弱となっています。2年前に比べ1兆円ほど増加しています。
2年前、au経済圏のコンテンツクオリティの低さにあきれてauからフリーテルに移行した経緯があったのですが、意外にも利用されている方は増えているようです。
図4の付加価値ARPAの源泉がここに表れています。

ちなみによく比較される楽天経済圏の流通総額は楽天の決算資料によると12.9兆円(FY2017),9.1兆円(FY2015)となっています。
結構な差があります。(各種サービスが直接競合していなかったりするので、流通額を比較することに現在どれほどの意味があるかわかりませんが。楽天ECとWawmaを比較すると面白いかもしれません。)

3.まとめ

簡単に内容をまとめておきます。

1)売上・営業利益ともにパーソナルセグメント、バリューセグメントを中心に伸びている

2)auの契約件数は増加傾向、WiMAXの契約件数の増加が著しい。一方でMVNOの増加は期待ほどではなかった。

3)au 通信ARPAは微増、ここでもMVNOの影響は期待ほどではなかった。

4)au経済圏の流通総額は順調に増加。