しょくにんの長期投資

長期的な視点で投資について日々考えている事を綴っていきます。

企業ウォッチ - クックパッドの決算概要

連休を使って現在保有中のクックパッドの決算書をじっくりと読み直してみました。

 

日本のママさん達を中心に圧倒的な支持を受け、厚い会員基盤と彼女達が投稿するレシピコンテンツを有することでこの十数年間日本のWeb業界の先頭を走ってきた同社。

 

そんな同社ですがここ2・3年でずいぶんと状況が変わってしまいました。
経営陣の内輪揉めが16年に起こましたがそこに追い打ちをかけるような業績の低迷です。18年は17年比で40%程の減益になってしまいそうです。

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※18.12は筆者予測値

 

以下ではいくつかの要因について見ていきたいと思います。

 

まずは売上の推移から見ます。決算説明会資料では同社の売り上げは1)会員事業、2)広告事業の二つに分類されています。連結の売上推移は純粋にクックパッドの業績を見るため今回は載せていません。(一時期連結化したみんなのウエディングの影響を除外するため)

 

1)会員事業

 同事業ではプレミアム会員の利用料金収入とDocomoへのコンテンツ提供によるレベニューシェアからなります。

15年からレベニューシェアの寄与がプラスされましたが16年をピークに減少しています。

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注1) 18.12期は2Qの値を載せています。
注2) 14.12期は決算月変更のため8ヶ月間の実績となっています。

 

レベニューシェアについてはDocomoとどのような契約を結んでいるか不明なのでよくわかりませんが、プレミアム会員からの売上は下図のプレミアム会員数× 月額(280円)×月数とほぼ等しくなっています。

ご覧の通りプレミアム会員数は17年あたりから横ばい状態に入りました。
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2)広告事業

広告事業は16年をピークに大きく減収しています。18年は2Q時点で前年比25%減とさらなる減収が見込まれます。

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決算資料の中で広告収入に関係ありそうな資料として月間利用者数が開示してあったので推移をグラフ化しました。海外の利用者数が16年までは大きく伸びていますが、16年からさちってます。
また国内の利用者数は直近を16年と比べると10%程減少しています。
利用者数の減少以上に広告収入が減少しているので、PVの減少あるは広告単価下落が原因として挙げられます。

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3)ユーザのロイヤリティを測りたい

会員事業と広告事業を見てきましたがどちらも振るわない原因として、ユーザのロイヤリティ低下(要はクックパッドの魅力低下)が根本的な原因と思われます。
そこで特定期間のレシピ投稿数を計算してみました。
クックパッドはユーザ投稿型のサービスなので投稿数が良いKPIになると思われますが
やっぱり投稿数も減少傾向にありますね。うーん・・・、って感じです。

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4)販管費の推移

次はコストを見ていきます。16年でピークアウトしていますがこれはみんなのウエディングの売却による影響かと思われます。注目すべきは18年2Qの販管費が17年2Q比で増加していることです。(グラフは18年だけ2Q表示なので分かりずらくなってます。すいません。)。

18年通期だと1,000百万円ほどのかなりの増加になりそうです。
説明会資料によるとその要因のほとんどは人件費の増加にあります。

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おそらくですが、これはクックパッドの動画コンテンツ対応による人員増が原因かと思われます。

 

 

5)まとめ

①18年期の営業利益の大幅減益はレベニューシェアと広告による売上減と動画対応のコスト増が要因。

②サービスに対してユーザ減、ロイヤリティ低下の兆候がはっきりしてきた。

 

 

ざっと見ていきましたが、もっと踏み込んだ分析ができればなと考えています。
広告システムやWebサービスについてもっともっと学んでいかなければなりません。
もしアイデアやご意見などあればお知らせいただければ大変ありがたいです。

今後ともブログの質、そして投資能力を改善していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。