しょくにんの長期投資

長期的な視点で投資について日々考えている事を綴っていきます。

Facebookの決算書を読む

今回はFacebookの決算書を読んでみました。

どうやら平成最後の投稿はFacebookになりそうです。

ソースは下のリンクです。

investor.fb.com

 

言わずと知れてた世界最大のSNSサービス企業でFacebookInstagramを運営している会社です。

 

1.PL推移

早速PLの推移を見ていきます。下に(図1.)にまとめました。

図1.FacebookのPL推移

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図を見て驚くのがRevenues(売上の事)の増加量です。
2011年が$Mil3,711のRevenuesだったものが2018年には$Mil55,838となり7年で15倍となっています。年成長率に直すと約47%にもなります!!
Webサービスを提供する会社は恐ろしい伸び率を示す例が多いですが、Facebookはその典型ですね。

Revenuesの増加以外に注目すべき点は、Gross profit ratio(粗利率)が非常に高く80%程、そしてそのためにIncome from opeartions ratio(営業利益率の事)も40-50%と他者と比べ高めに推移しています。
ここ3年は税率も低く抑えられておりNet Imcome ratio(純利益率)ですら35%を上回っています。
2012年に各種率が低下しているのはResearch&Development cost(研究開発費)が前年比で$Mil1000ほど増加しているためです。(図1.の赤色の項目です。)。

2.地域別のRevenues、MAUs 、ARPU

次に地域別のrevenuesを見ていきます。

残念ながらサービス別の指標は公開されていないのでFacebook,Instagram,その他サービスを含めた値になります。

 
Facebookの決算書では以下四つの地域に分けて情報が公開されています。

  1. US & Canada
  2. Europe
  3. Asia-Pacific、
  4. Rest of the World

下が地域別のRevenuesです。(図2.)

図2. 地域別のRevenues推移

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 ざっくりとその割合を言うとUS & Canadaが50%弱でEuropeが25%,
Asia & Pasificが15%でその他が10%程度でしょうか。
比率に関しては年度ごとの差はあまりなさそうですが、US & Canadaの北米が比率を高めている印象です。
ひとまずFacebookは欧米でRevenuesの70%強を出していることがわかりました。

次がMAUです。MAUは一月の間に利用したユーザの数です。

図では各決算期の$Qの値を載せています。

図3. 地域別のMAU
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MAUはAjisa-Pacificとその他地域の数が倍以上欧米地域を上回っています。
2018年全世界のMAUは23.2億人となっています。

MAUは厳密にはサービスにアクセスしてきた端末の数をカウントしたものなので、PCとスマホを併用するユーザをダブルカウントしたりするので、実際の利用ユーザ数はこれより少なくなりますが25%減ると想定した場合だと全世界で毎月17億人程度が同社のサービスを利用していることになり、統計局(統計局ホームページ/国勢調査トピックス No.7)が公開している世界の2015年人口72億人と比較するとおよそ4人に1人が月に利用していることになります。

欧米はPC、スマホ後進国に比べて普及しているので実際の利用ユーザ数の減少率は他の地域と比べると大きいのかもしれません。

 北米は人口3.5億人、ヨーロッパ7億人それと比べてアジアの人口は45億人なので欧米だと利用者の割合は3人に1人くらいで他の地域は5人に1人と程度になるのかもしれません。(厳密に計算できますが今回はやってません。)


次がARPUのグラフになります。(図4.)ARPUはユーザ一人当たりの売上を表す指標として主に通信会社が公開しています。そして月当たりの売上をここではARPUmとしてグラフ化しています。

図4. 地域別のARPUm

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 面白いことにMAUとは逆に欧米地域の値が大きくなっています。
特にUS & Canadaは突出していますね。Facebookは売上であるrevenuesはほぼ100%広告費なのでクリック数あるいはインプレッション数、単価のどれかが他地域と比べて高いと容易に想像が付きます。
US & CanadaとAsia-Pacificを比較すると10倍以上の差がついていることを考えると、そのすべての指標がUS & Canadaの方が上回っていると考えられます。

おそらくユーザあたりの利用回数が高く、ユーザデータがたまっているので利用状況を分析できるので広告効果も高くなって結果単価も高くできるのだと考えられます。

しかし最近はやりのInstagramだけでARPUやユーザ数を見てみたいですね(^^)
どこかにサービスごとの情報が落ちてるかもしれないので余裕あれば探してみます。

 

3. BSの推移

 最後にバランスシートの推移をグラフにしてみました。

図5. BSの推移

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PLで見た通り、純利益率が高いのでRetained earningsが積みあがったことと、株式の追加増資(Additional Paid-in capital)を継続的に実施していることで純資産率が極めて高いです。85%くらいでしょうか。典型的なネット企業ですね。クックパッドやYahooとBSの形がそっくりです。

ただ、クックパッドやYahooよりも買収に積極的で借り方のほうでは有価証券(Marketable securites)とのれん(Goodwill)が大きく上昇しています。
純粋な現金比率は低いことも確認できます。

のれんについては2014年のwhatsApp買収(約$Mil2,000、 日本円だと2兆円くらい)によるものと考えられます。(当時の決算書を詳しく見るとちゃんと書いてあると思います。)
有価証券が増積みあがっているのは上場企業の買収や一部株式の取得によるもの

 だと考えられます。
詳しく見ると面白いことがわかるのでしょうが、大変そうなので今回は深入りしません。

クックパッドは経営陣の交代で関連会社を売却したのでFacebookとは真逆の動きをしていますね。


 

4. まとめ

今回はFacebookのPLとBSをざっくり見てきました。
売上が大きく伸びていること、地域別では欧米が売り上げの大半を占めておりARPUがほかの地域よりも大きいことが確認できました。
また、BSでは純利益の積み上げと追加増資で純資産率が85%を超えその資金で、企業買収を実施してのれんや有価証券が積みあがっているというストーリが財務諸表上でも創造することができることがわかりました。