Alphabet (旧Google)の決算書を読む② - セグメント別のRevenues詳細
- 1. セグメント別のrevenues
- 2. Google propertiesセグメントのクリック指標
- 3. Google Network Membersセグメントのクリック指標
- 4. 広告市場全体の推移
- 5. まとめ
前回に続いてAlphabetの決算について紹介していきますが、今回はセグメントの詳細について見ていきます。
前回もお伝えしましたが、Alphabetはホールディングス形態で多数の持ち株子会社を持ちますが、現在のところRevenues(売上のとこです)の99%以上はGoogleで構成されます。(図1.をご覧ください。)
1. セグメント別のrevenues
図1. AlphabetのGoogle & 非GoogleセグメントRevenues
ということなのでGoogleセグメントだけをしっかり調べて行けば問題なさそうです。
実際、決算書の10-KでもGoogleセグメントを中心に記載されています。
決算書ではgoogleセグメント内でもセグメントを切っているのでそちらもまとめました。(図2.)
ちなみにですが、決算書によると広告・非広告、サービスの内訳は以下のようになります。
広告/非広告 | セグメント名 | サービス |
---|---|---|
広告 | Google properties | Gmail, Google Search, Google Maps, Google play, Youtube |
広告 | Google Network Members | Admob, AdSense, google Ad Manager |
非広告 | Google others | Google Play, Google Cloud, Hardware |
図2. googleセグメント内のRevenues詳細
図1. 図2.は前回表で掲載していましたが見づらかったのでグラフにしました。
(やっぱりグラフはきれいですね。作るのちょっと大変なんですけど(^^)。<= 自動化したい。)
次がセグメント別のrevenuesの年変化率のグラフです。(図3.)
図2.のrevenuesを変化率に変えたものになりますが、Google othersセグメントの年変化率がかなり大きいです。15年以外は増加率が30%を超えています。Google propertiesも平均で20%程の増加率です。Google Network Membersセグメントも他と比べると見劣りしますがそれでも直近2年は10%を超えています。
図3. revenuesの伸び率(YoY)
以下では広告セグメントについて詳しく見ていきます。
2. Google propertiesセグメントのクリック指標
下の図4.はGoogle propertiesセグメントの広告クリック数とクリックあたりのrevenues単価の増減率をグラフにしたものです。
図4. Google propertiesセグメントのクリック数&クリック単価推移
Paid clicks changeがクリック数の増減率でCost-per-click changeがクリックあたりの単価に相当します。クリック数は大幅な増加を示しており、特に直近2年は増加率50%を超えています。一方で単価の増減率はマイナスで直近2年は-20%を上回る減少率となっています。
注意点はクリック数と単価の増減率を掛け合わせてもrevenuesの増減率と一致しないことが挙げられます。おそらくプロダクトミックスの変化、為替補正など補正要素が他にあると考えられます。
このことからgoogle propertiesでは単価の減少率をクリック数の増加率が大幅に上回ることでrevenuesが増加していることがわかりました。
3. Google Network Membersセグメントのクリック指標
次はGoogle Network Membersセグメントの広告クリック数とクリックあたりのrevenues単価の増減率グラフです。(図5.)
こちらは2018年から 新しくインプレッションが指標として採用されました。インプレッションはWebサイトで広告動画などがクリックしなくても表示されるものです。
2018年の決算書からインプレッションを2016年、2017年のものからクリックについて参照しています。
図5. Google Network Membersセグメントのクリック数&クリック単価推移
このセグメントではクリック数の増加率はGoogle propertiesそれほど大きくありません。同様にクリック単価の減少率もGoogle propertiesの半分ほどです。そのためreveneusの増加率もマイルドで推移しています。
注目すべきはインプレッションあたりの広告あたり単価増減率がプラスであることでしょうか。一般的にネット広告の単価は減少傾向で増加している事例はあまり聞いたことがありません。(多分私が不勉強なだけです。)
インプレッションは3年ほど前から目にするようになりましたが、今はやっている広告手法なのかもしれません。
4. 広告市場全体の推移
最後に広告市場全体の市況を見ていきたいと思います。以下は電通イージスが公開している表になりますが、Googleはアドテクなのでほぼすべてデジタルの媒体に含まれると考えられます。
2018年以降は予測ではありますが、デジタル媒体は毎年10%を超えるペースで成長をしているようです。googleの広告セグメントの成長率は15%を程度なので、デジタル全体のシェアもおそらく高まっているのでしょう。
今回は取り上げませんがおそらくネット広告を主とするFacebookも同じようなrevenuesの成長率を示していると思われます。(そのうち比較したいな)
表1. 世界の媒体別広告費成長率(以下より引用)
世界の広告費、2018年予測を6,135億ドルに上方修正。米中が牽引【電通イージス・ネットワーク予測】 | Web担当者Forum
5. まとめ
以上、Googleセグメント内の広告セグメントをメインについてざっと見てきました。
分かったとこは以下のようなものでしょうか。
1)広告セグメントはクリック数の増加率が広告単価減少率を大幅に上回ることでrevenuesが成長している。
2)Google Network Membersセグメントでは2018年からクリックからインプレッションへ指標が変更になった。
3)世界のデジタル広告指標は10%以上の伸び率を示しており、Googleの広告セグメントもそれに比して成長していると考えられる。
今回は以上になりますが、そのうち非広告セグメントも詳しく見ていきたいと思います。個人的にはクラウドサービスのGCPとAWSを比較したいです。
それではまた。