Alphabet (旧Google)の決算書を読む - PL & Revenues(売上)のセグメント
今回はネット企業代表のGAFAの一柱、Alphabetの決算情報をまとめました。同社にはYoutubeやGmailで毎日お世話になっています。今後はクラウドサービスのGCPでもお世話になりそうです。多くの人にとって重要なインフラとなっている会社さんなのでちょっと気合入れて調べてみようと思います。
参考にした資料は以下のリンク先で閲覧可能な10-K(2018 - 2015)となります。
1. PLをざっと眺める
まずはPLの推移を見ていきます。13年~18年のPL推移をグラフ表示(図1.)してみました。
このグラフではPL項目のうち「Cost and Excenses」(日本でいうところの原価)と「Income from operations」(同じく営業利益, 以下"OP"とします)までを棒グラフに積み上げています。積みあがった棒グラフの高さがRevenues(同じく売上)となります。
PLの詳細は表1. PLにまとめました。NIまで確認するなら表をご覧ください。
(あらかじめ断っておきますが、全体的にUIがいまいちで見づらくてすいません。私の能力の限界です。おいおい改善していきます。m( _ _ )m )
図1. AlphabetのPL推移(Revenue, cost & expenses, Income from operations)
表1. PLの詳細
注1. 「% vs renvenues 」はRevenuesに対するパーセンテージを表す。
ぱっと見たときに私が気付いたのは以下の点くらいです。
1) 5年でRevenuesがおよそ2.46倍、18年のRevenuesは日本円で約15兆円。
2) OPの対 Revenues比が27% => 19.2%に減少。
結果として5年間の伸びは1.7倍、Revenuesほど伸びず。以下二点が主因。
- Cost of revenues、Research and developmentの対Revenues比が数%程増加。
- 直近2年にEUからの制裁金(European Commission fines)を費用に計上。
3) 18年のOther incomeが前年比Mil$7,500ほど増加。
4) 17年のProvision for income taxesが増加。
3),4)について原因を調べてみると,以下のようで税制や会計基準変更による一時的なものでした。
3) について
=> 決算書によると会計基準変更による所有株式の含み益の値洗いによる。
4)について
=> 以下の記事によると「税制改革を受けて、海外子会社の利益および繰り延べ税金の影響に基づく一時的課税」ということのようです。17年 4Qのpress-releaseにも同様の記述がありました。
とりあえず、10兆円クラスの大手企業に関わらずなかなかの成長を見せていることが分かって頂けたと思います。
2. Revenuesのセグメント情報を確認する
次にRevenusの詳細を確認していきます。Alphabetは前身のGoogleから数年前に持株会社に移行して様々な会社を保有しています。Revenuesの構成はどうなっているのでしょうか。表2をご覧ください。こちらは決算書のセグメント構成をまとめたものです。
決算書によるとRevenuesのうちGoogleの比率は99.5%を超えています。Alphabetの売上はほぼすべてGoogleからと考えて差し支えないでしょう。
さらにGoogle Segmentは三つに分類されており、分類ごとのサービスは以下になります。
1) Google properties - 広告収入が主でGoogleが保有するサービスから得られる。
対象サービス => Gmail, Google Search, Google Maps, Google play, Youtube
2) Goole Network Members' properties - こちらも広告収入が主。ADSenseなどで外部コンテンツへ広告を提供して得られる。
対象サービス => Admob, AdSense, google Ad Manager
3) Google other - Google PlayやGoogle Cloud, Hardwareの販売収入。
対象サービス => Google Play, Google Cloud , Hardware
各セグメントRevenuesの2年間の伸び率を見ると 1)が約50%, 2)が約30%, 3)が約90%の伸びといったところです。さらに詳細なセグメント情報は公開されていませんでしたが、推測するに1)はYoutube,3)はGoogle Cloudの影響が大きいのではないでしょうか。Youtubeは一般利用者の視聴時間が急激に増えていますし、Google Cloudはプラットフォーム(GCP)の構築が成果を上げて最近ではAWSより使いやすいという評判を他のエンジニアさんからよく聞きます。特にAI 関連では。
3. まとめ
今回はAlphabetのPLとRevenuesのセグメントについて軽く紹介しました。本当は地域別のRevenuesやコストの詳細についても示せたらよかったのですが、情報の整理に手手こずってしまったのでここまでにしておきます。
PLの時系列をお見せできたのでAlphabetのこれまでの成長についてはご理解いただけるかと思います。
また、セグメント事のRevenuesもいろいろなサービスがあるので詳細の把握は難しいですがざっくりとした分類では見れたかと思います。
また近いうちに同社について追加情報を記事にするつもりです。
企業ウォッチ - エヌビディア
今回は人工知能ブームで絶好調なエヌビディアを調べてみました。
1.売上推移
グラフにして分かったとこですが、NVIDIAは10年以上前からある程度一定した数値を維持していました。
そしてここ数年のGPUブームにより2017.12は2014.12比で売上2倍、営業利益4倍となっています。
営業利益の伸び率が高いのはNVIDIAがファブレスメーカーであり、工場での生産コストをアウトソースしているためだと思われます。
2.セグメント別売上推移
次に会社公開のセグメント別売上を見てみます。
1) Gaming
売上がもっとも大きいgameingセグメントですが、GamingPCにデフォルトで組み込まれているGPUに加え、ブロックチェーンのマイニングやディープラーニングの計算に使われるGeforceもこのセグメントに含まれています。
ですからに一般に接するGPUはほとんどこのセグメントになります。
ここ数年の売上の急増は主にこのセグメントによるものであることがわかります。
2)Professional Visualization
企業向けにハイエンドのGPUを提供しているセグメントのようです。
「このセグメントの主製品はQuadroで、大手独立ソフトベンダーと組んでサービスを提供している」みたいなことが10-Kには書いてあります。
売上は10年にわたってほとんど横ばいです。
3)DataCenter
このセグメントには大手IT企業や研究機関のデータセンターにGPUを提供するセグメントになっています。
Gamingと違ってある程度まとまったGPUをデータセンターごとに提供しているのだと思われます。
一例としてAmazonのAWSでNVIDIAのGPUが利用可能であることを確認できました。
docs.aws.amazon.com額こそGamingほど増加していませんが、ここ1,2年の売上増加率はGaming以上です。
これから数年間先に最も伸びるセグメントかもしれません。
4)Auto
こちらは自動車の自動運転向けのサービスです。大手自動車メーカーを中心に現時点では研究開発用のサービスを提供しているようです。
こちらのセグメントは自動運転が実用化されると大きく伸びてくるのでしょうか。
5)OEM&IP
今回はパス。
3.競合比較
次に競合他社はどうなっているのか確認するため、NVIDIAの最大の競合であるAMDを見てみました。
売上&営業利益の推移を比較するとNVIDIAとの差は一目瞭然です。
売上のは10年間伸びていませんし、総じて営業利益も低く、赤字の年が多いのが目につきます。
実際に営業利益率を比較してみるとやはりNVIDIAのほうが全体的に高い。
14年あたりからの乖離が多いですし、02,08年あたりも大きな乖離が見られます。
4.NVIDIAの優位性について
私が現時点で思いつくのは以下の2点です。
1)ディープラニングではNVIDIA一択
現在ディープラニングで主流のKerasやTensolFlowなどのディープラニング実行フレームワークではのGPUにしか対応しておらず、ディープラニングを実行する場合、GPUはNVIDIA一択になっています。
2)研究機関や大手企業との協力関係
10-Kを読んでいて、何度も研究機関や大手企業とのリレーションシップに言及しています。サービスベースで具体的にどのように貢献しているかは不明です。
5.まとめ
1)NVIDIAの売上&営業利益の推移を確認した。
2)セグメント事の売上の推移を確認した。
①ここ数年の売上増はgaming,Datacenterが中心。
②特にこの1,2年はdatacenterの伸び率が高い。
③また、将来セグメントとして自動車の自動運転に関わるAutoが存在。
3)競合であるAMDと営業利益率を比較した。結果はNVIDIAのほうが総じて利益率は高かった。
4)NVIDIAの優位性について。著者が考えつく点として
①ディープラーニングではNVIDIAが一択
②研究機関や大手企業との協力関係。ただし、具体的な訴求点は不明。
毎度、内容の薄い記事で恐縮ですが今回はここまでです。
企業ウォッチ - クックパッドの決算概要
連休を使って現在保有中のクックパッドの決算書をじっくりと読み直してみました。
日本のママさん達を中心に圧倒的な支持を受け、厚い会員基盤と彼女達が投稿するレシピコンテンツを有することでこの十数年間日本のWeb業界の先頭を走ってきた同社。
そんな同社ですがここ2・3年でずいぶんと状況が変わってしまいました。
経営陣の内輪揉めが16年に起こましたがそこに追い打ちをかけるような業績の低迷です。18年は17年比で40%程の減益になってしまいそうです。
※18.12は筆者予測値
以下ではいくつかの要因について見ていきたいと思います。
まずは売上の推移から見ます。決算説明会資料では同社の売り上げは1)会員事業、2)広告事業の二つに分類されています。連結の売上推移は純粋にクックパッドの業績を見るため今回は載せていません。(一時期連結化したみんなのウエディングの影響を除外するため)
1)会員事業
同事業ではプレミアム会員の利用料金収入とDocomoへのコンテンツ提供によるレベニューシェアからなります。
15年からレベニューシェアの寄与がプラスされましたが16年をピークに減少しています。
注1) 18.12期は2Qの値を載せています。
注2) 14.12期は決算月変更のため8ヶ月間の実績となっています。
レベニューシェアについてはDocomoとどのような契約を結んでいるか不明なのでよくわかりませんが、プレミアム会員からの売上は下図のプレミアム会員数× 月額(280円)×月数とほぼ等しくなっています。
ご覧の通りプレミアム会員数は17年あたりから横ばい状態に入りました。
2)広告事業
広告事業は16年をピークに大きく減収しています。18年は2Q時点で前年比25%減とさらなる減収が見込まれます。
決算資料の中で広告収入に関係ありそうな資料として月間利用者数が開示してあったので推移をグラフ化しました。海外の利用者数が16年までは大きく伸びていますが、16年からさちってます。
また国内の利用者数は直近を16年と比べると10%程減少しています。
利用者数の減少以上に広告収入が減少しているので、PVの減少あるは広告単価下落が原因として挙げられます。
3)ユーザのロイヤリティを測りたい
会員事業と広告事業を見てきましたがどちらも振るわない原因として、ユーザのロイヤリティ低下(要はクックパッドの魅力低下)が根本的な原因と思われます。
そこで特定期間のレシピ投稿数を計算してみました。
クックパッドはユーザ投稿型のサービスなので投稿数が良いKPIになると思われますが
やっぱり投稿数も減少傾向にありますね。うーん・・・、って感じです。
4)販管費の推移
次はコストを見ていきます。16年でピークアウトしていますがこれはみんなのウエディングの売却による影響かと思われます。注目すべきは18年2Qの販管費が17年2Q比で増加していることです。(グラフは18年だけ2Q表示なので分かりずらくなってます。すいません。)。
18年通期だと1,000百万円ほどのかなりの増加になりそうです。
説明会資料によるとその要因のほとんどは人件費の増加にあります。
おそらくですが、これはクックパッドの動画コンテンツ対応による人員増が原因かと思われます。
5)まとめ
①18年期の営業利益の大幅減益はレベニューシェアと広告による売上減と動画対応のコスト増が要因。
②サービスに対してユーザ減、ロイヤリティ低下の兆候がはっきりしてきた。
ざっと見ていきましたが、もっと踏み込んだ分析ができればなと考えています。
広告システムやWebサービスについてもっともっと学んでいかなければなりません。
もしアイデアやご意見などあればお知らせいただければ大変ありがたいです。
今後ともブログの質、そして投資能力を改善していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
決算概要 - KDDI (2018) -
1年ぶりの投稿になります。
今回はKDDI2018年度決算の主要指標をサラッとまとめてみました。
マーケットではMVNO台頭への不安などで評価はいまひとつですが、実際の業績はどうなっているのでしょうか。
1.売上と営業利益の推移
図1をご覧ください。こちらは売上をセグメント事に分けて表示しております。
パーソナル & バリューがそこそこ増加、ビジネス & グローバルはほぼフラットな状況でしょうか。
ここ二年で言えばバリューの増加が著しいです。
・売上 & 営業利益の推移 (セグメント単位で確認できるグラフ)
図1.セグメント別売上推移
図2をご覧ください。こちらはセグメント事の営業利益の推移になります。
構成比は売上とあまり変わりません。2012年からの成長はパーソナル & バリューによることがわかると思います。
ビジネスはフラット、グローバルは最近黒字が定着したようです。
図1.セグメント別営業利益推移
2.セグメント事の主要指標
図2で分かる通り営業利益の大半はパーソナルとバリューが占めています。
なのでここではこの二つのセグメントについて見ていきたいと思います。
2.1 パーソナルセグメント
パーソナルは移動端末(au or MVNO)と固定回線の通信インフラサービスがメインになります。以下の図3は移動端末の主要サービスの契約数になります。
決算短信の記述からここでのMVNOはUQモバイル/ビッグローブ/ジュピターテレコムを指していると思われます。
図3. 移動通信の主要サービス契約件数
「MVNOにどれだけ削られているのか??」と思っていましたが、意外にauの契約数が増加しており、MVNOの増加も今のところau契約数と比べると微々たるものです。
MVNOよりかWiMAXの契約数増加が著しいですね。この数値はすごく納得感があります。
というのも職場(外駐先)でUQ WiMAXを使う方が増えてきたと感じることと、実際に使ってみてと手も便利だからです。
何より会社が進んでポケットWiFiを持たせてくれるようになったことです。
おそらくビジネスからのニーズが大きいのではないでしょうか。
次がauのARPAになります。図4をご覧ください。
2016年から指標がARPU(端末あたりの月売上)からARPA(契約者あたりの月売上)に変更になりました。
そのため2015年までのデータしか見つけられませんでしたのでご了承ください。
付加価値ARPAはバリューセグメントの範疇ですが見やすいのでまとめました。
図4 au ARPAの推移
契約件数の伸びの割に通信ARPAはそれほど増加していません。
全体的に通信による売上単価は下落しているようですが、それを契約数でカバーしている印象を受けます。
まあこれは数年前から明らかだったのですが、MVNOとの価格競争はそこまで激しくないと理解べきでしょうか。
ちなみに筆者がMVNOのARPUをauの決算資料から計算してみたところおよそ1,650円になりました。
au の通信ARPAと単純比較すると1/3程度になります。だいぶ違いますね。
そういうこともありMVNOとの価格競争によりauのARPAは来年以降は下がっていくのではないかと個人的には思います。
決算資料には一人あたりの端末契約数など他にも注目すべきKPIがあったのですが、今回は筆者のモチベーションの都合で深入りしません。
2.2 バリューセグメント
KDDIが最も力を入れているセグメントです。
図5をご覧ください。auが展開する各種コンテンツサービスの流通額の推移です。
図5 au経済圏 流通総額とKDDI関連会社の経済圏内売上率
KDDIではこのコンテンツチャンネルを「ライフデザイン」、「au経済圏」などといった言葉で表現しています。
au経済圏の流通総額は2018年度でおよそ1.9兆円弱となっています。2年前に比べ1兆円ほど増加しています。
2年前、au経済圏のコンテンツクオリティの低さにあきれてauからフリーテルに移行した経緯があったのですが、意外にも利用されている方は増えているようです。
図4の付加価値ARPAの源泉がここに表れています。
ちなみによく比較される楽天経済圏の流通総額は楽天の決算資料によると12.9兆円(FY2017),9.1兆円(FY2015)となっています。
結構な差があります。(各種サービスが直接競合していなかったりするので、流通額を比較することに現在どれほどの意味があるかわかりませんが。楽天ECとWawmaを比較すると面白いかもしれません。)
3.まとめ
簡単に内容をまとめておきます。
1)売上・営業利益ともにパーソナルセグメント、バリューセグメントを中心に伸びている
2)auの契約件数は増加傾向、WiMAXの契約件数の増加が著しい。一方でMVNOの増加は期待ほどではなかった。
3)au 通信ARPAは微増、ここでもMVNOの影響は期待ほどではなかった。
4)au経済圏の流通総額は順調に増加。
決算概要 - KDDI(2017) -
今月にKDDIの決算発表がありました。
昨年同様に主な指標を決算資料からグラフ化して、経年推移を見える化してみました。
(資料はここ)
1.売上
まずは売上から。
フリーテルなど格安スマホMVNOに売上を取られいるのではと思っていましたが、売上・営業利益は以前増加基調が続いていました。
次はauの契約件数です。
ついでながら、UQとKDDIの関連会社のMVNOも発表されていたので合わせてグラフにしてみました。
契約件数どうよ、減ってんじゃない?と思っていたんですが、契約件数は増加傾向です。しかも数字を見る限りではなかなか順調です。
UQの契約数の増加が著しいですね。(三姉妹が大健闘です。)
さて、問題は来年以降も続くかどうかです。
そこで私が注目してるのはMVNOの存在です。(もしかして常識??)
昨年の10万件から87万件まで数を増やしてきています。もちろんこの数値はKDDI関連会社のものだけなのであまり意味がないかもしれません。(そのうち、MVNOの統計もまとめてみます。)
3.auのARPA
次はARPAです。顧客あたりの月売上を表します。従来はARPUという一契約当たりだったのですが、KPIを昨年変更しました。
グラフでは2015年はARPUとARPAを両方表示しています。
ARPAは少しづつですが増加傾向です。会社として重視している付加価値ARPAも増加しています。
4.まとめ
KDDIの主要指標をグラフ化してみました。
仕事でちょっと関係があったので気になってサクッと調べましたが、投資候補に入っていないので深追いはしません。
それではまた。
ハードオフの営業利益率が10年前と比べて低下した理由を探る
前回のリユース企業の財務比較で気になったハードオフの営業利益率の大幅な低下について調べて見ました。
各年度の有価証券報告書を見ていくと面白いデータがありました。
下の表をご覧ください。
こちらの表は有価証券報告書に記載されたセグメント情報をまとめたものです。
ハードオフは二つのセグメントに分かれていて、一つは直営店を運営するリユース事業、もう一つがフランチャイズ加盟店を統括するFC事業です。
この表が多くを物語っているわけですが、結論をいうと営業利益率の低いリユース事業の比率が高まっているのが営業利益率低下の直接の原因となっているようです。
10年間でFC事業部の売上と営業利益(OP)が10%程度しか変動していない、一方でリユース事業は売上、営業利益(OP)ともに2.5倍弱と大きく変動しています。
各セグメントのセグメント利益をセグメント売上で割った値は、リユース事業でおよそ15%、一方FC事業では70%になります。
FC事業はハードオフにとってはキャッシュカウとなっていることがよくわかりました。
各社の財務比較でハードオフの営業利益率が高いのは、フランチャイズ形態のビジネスをしていたからなのですね。
リユース企業の財務比較
前回の投稿からずいぶんと時間が立ってしまいましたが、投稿します。
今回はリユース企業の比較です。
メジャーなコメ兵(2780)、ハードオフ(2674)、トレジャーファクトリー(3093)の三社と、
ネット系ベンチャーのマーケットエンタープライズ(3135)を比較してみました。
FY2005 ~ FY2016の期間で比較しました。決算月が異なっていることはあらかじめ断っておきます。
1.財務比較
今回はPL比較のみです。(すいません)
1) はじめはやっぱり売上から。
(出典)各社財務データより筆者作成
売上の絶対額ではコメ兵がダントツでした。ハードオフの2.5倍くらいあります。
10年のスパンではおおむね各社右肩で売上を伸ばしていいるのがわかります。
ただ、コメ兵は2008~2010の間で大きく売上が減少しています。
この辺が気になります。
2) 次は粗利益率です。(以下の比率は売上ベースです。)
(出典)各社財務データより筆者作成
比較して驚きました,これほど差が出あるとは!
コメ兵が群を抜いて粗利率が低いです。
ハードオフ、トレジャーファクトリ二社とコメ兵のちょうど間ぐらいにマーケットエンタープライズの値がありますね。
このあたりの違いの要因がどこにあるのか?
3) 次は人件費率の比較です。
(出典)各社財務データより筆者作成
またまた出ました。
コメ兵がずいぶんと低いパーセントになっています。
粗利率の低さを人件費率の低さで補っていたんですね。
今回は異様のうち最も大きな値を占めていたので人件費を簡易的に紹介しています。
他には家賃、広告宣伝費、減価償却費、光熱費、などがありますがまたの機会に。
4) 次は営業利益率です。
(出典)各社財務データより筆者作成
売上からコストを引いた結果です。
このグラフで気になったのはハードオフの利益率が05'~09'までに急激に減少していることです。
10'以降だとマーケットエンタープライズ以外は順調に利益率を伸ばしています。
2.考察
とりあえず、PLだけざざっと比較しました。
比較してわかったことは、
①ハードオフとトレジャーファクトリはPLの構造と年推移がとても似ている。
②ハードオフとトレジャーファクトリは粗利率が高く、コメ兵は粗利が低い。
③ハードオフとトレジャーファクトリは人件費率が高く、コメ兵は人件費率が低い。
④各社直近の5年は売上が右肩上がりで成長。
といった所でしょうか。
定性的な調査はこれからですが、各社のビジネスモデルの違いがはっきりと反映されているように感じます。
一番の違いはブランド品や装飾品など高価なモノがメインかどうかです。
コメ兵やマーケットエンタープライズは高価なモノ中心です。
逆にハードオフとトレジャーファクトリは衣類や家財道具の比率がどうも高いようです。
他にもハードオフはフランチャイズが多いが、コメ兵、トレジャーファクトリは直営がほとんどといった違いがあります。
今回は以上になりますが、これからも調査を進めていきたいと思います。
(マーケットエンタープライズいらなかったかな。)
あと蛇足ですが、執筆中の店舗売上を見てみると各社大幅に減少していました!
コメ兵が特にひどいが、ほかの会社も8月の既存店売上が10%以上減少している。
これは非常にスリリングな兆候ですね。
一時的であると判断するなら安く買えるチャンスがありそうです。
今後の展開が楽しみです。